アセテート繊維とは

アセテート繊維

1.繊維の分類

繊維は大きく化学繊維と天然繊維に分類され、さらに化学繊維は再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維に分類されます。

世界の繊維生産量(2012年度)は73,576千トンであり、次のグラフに示すように三大合繊と称されるのは、ポリエステル、ナイロン、アクリルです。アセテートの生産量は約1%と非常に少ない素材です。

 

 

2.アセテート繊維の歴史

セルロースの酢酸エステルである酢酸セルロースからなる人造繊維をアセテート繊維と呼び、その歴史は非常に古く、1923 年英国Celanese 社がジアセテート人絹糸の生産を開始した。

1930 年代に入ると米国Celanese, American Viscose,E.I.DuPont, Eastman Kodak 等がジアセテート繊維の生産を開始し、アメリカは世界一のアセテート繊維生産国となりました。

菱光アセテートは、1958 年にジアセテート繊維の生産を開始しました。

トリアセテートについては、1954 年に米国Celanese、英国Courtaulds が生産を開始、日本では1967年に三菱アセテートが生産を開始しました。

 

3.アセテート繊維の製造プロセス

アセテート繊維は、高純度木材パルプを無水酢酸と反応させて製造されるアセテートフレークを溶剤に溶解、濾過し、紡糸原液を調整します。紡糸原液を30~50μmと非常に小孔径に制御されたノズルから吐出させ、溶剤を蒸発させて糸条を形成させる乾式紡糸法により製造されます。

アセテート繊維の断面は菊型と呼ばれる特異な多葉型形状をしています。丸孔から紡出された紡糸原液は吐出直後は円形断面を有していますが、表層からの急速な溶剤蒸発により繊維表層にスキン層が形成され、その後繊維内部の溶剤蒸発により繊維断面方向にスキン層が陥没して多葉型断面が形成されます。

 

 

4.アセテート繊維の特徴

アセテート繊維はジアセテート繊維とトリアセテート繊維に分類されます。ジアセテート(通称アセテート)は、水酸基の74% 以上92% 未満が酢酸化(エステル化度は2.22 以上2.76 未満)されている酢酸セルロース繊維と定義され、トリアセテートは、水酸基の92% 以上が酢酸化(エステル化度は2.76 以上3.00 未満)されている酢酸セルロース繊維と定義されています。

  • 肌に優しい自然な質感
  • 優雅な光沢と発色性
  • 軽やかでしなやかなドレープ性
  • 適度な吸湿性と速乾性
  • 縮みにくく寸法安定性が良い
  • プリーツ耐久性が良い(トリアセテート)
  • ピリングの心配が無い
  • 安全アイロン温度領域が比較的高い
  • 汚れにくく、汚れが落ち易い

これらの特徴はアセテート繊維の性能に起因するもので、アセテートの繊維性能を他の主要繊維と対比したものをまとめています(表1参照)。これは高純度のパルプを出発原料にしており、肌に優しい自然な質感が得られることがわかります。1本1本の繊維断面が不定形の多葉断面をしており、かつ屈折率が低いため、繊維方面からの反射光が少なく、絹のような優雅な光沢と鮮明な発色性が得られます。またポリエステルや綿に比べヤング率が低いため、しなやかなドレープ性が得られます。そして適度な公定水分率(3~7%)と多葉断面による毛管現象による拡散効果により、適度な吸湿性と速乾性を示しています。またアセテート繊維は水中での繊維の膨潤度が低く、レーヨン等に比べて寸法安定性とプリーツ耐久性に優れています。

アセテート繊維の欠点として繊維強度の低さがありますが、この点については、ポリエステル繊維など十分な強力を有する繊維と複合して使用することで実用上問題の無い展開が可能となっています。また、斑外観や伸縮性を有するポリエステル繊維を複合対象に使用することで、その特徴をもアセテート繊維の風合いに付加した感性に優れた織編物が製造可能です。

 

「繊維総合辞典」(繊維総合辞典編集会編)、「繊維」(東京電機大学出版局)、「繊維便覧 原料編」(繊維学会編)より

 

5、トリアセテート繊維とジアセテート繊維の用途

アセテート繊維は、絹のような光沢と感触が特長です。一般的に、レーヨン、ポリエステルなど他の繊維と複合することで、婦人服地となります。特にトリアセテート繊維は、ソフトな風合い、豊かなドレープ性を生かし、高級婦人服向けとして使用されています。ジアセテート繊維は寝装リビングや裏地のほか、ギフト箱の内張り、衣類の品質表示ラベルやタグ、リボンテープ、梱包用テープの雑貨等にも使われています。